【伊勢重の料理・お肉】 ■すき焼き 伊勢重のすき焼きは、水を張った鍋台、炭火の火入れ、鉄鍋、秘伝の割下と、創業よりの変わらぬ手法を守っております。もちろん肉は手切りの和牛。肉を出来るだけ細かく分け、薄いスジ一つにまで気を配るという、 明治以来のすき焼き屋としての誇りと伝統の味を、ゆったりと寛げるお部屋でご賞味いただければ幸いと存じます。 ■牛肉佃煮 当店創業の父祖が、明治初年、牛肉の普及と冷蔵庫のない当時の牛肉の長期保存の試みから考案したものです。 その独特の風味は、長年ご好評いただいております。 温かいご飯に、お茶漬けに、また酒の肴としても最適です。さらに近年は麺・豆腐・パン等に合わせるなど、召し上がり方も多岐にわたって参りました。 常温にて長期保存できますので、遠方へのご進物にもご利用くださいませ。 ■特選和牛 当店では、和牛精肉の販売もいたしております。 吟味した最高級の和牛を、機械切りでは目の届かね微妙な肉目の流れに留意して、肉を押し付けぬよう手で支え、技と包丁を頼りに一枚一枚最高の旨味をきり出すことを考えてまいりました。

【「伊勢重」の歩み】 ■「旨味を炙り出す」それが伊勢重の変わらぬ商いのこころえです。 伊勢重の歩みは、明治二年二月、現在と同じ日本橋小伝馬町に始まりました。 当時の日本は、長い鎖国の夢から目覚め、文明開化の波が太平洋の彼方から押し寄せ、衣・食・住も著しく変化した時代でした。明治四年には、仮名垣魯文が牛鍋屋を舞台とした「安愚楽鍋」を書いたように、すき焼きは時代の先端をゆくハイカラな食べ物だったのです。しかし、まだ髪を結った人々が行き来していた時代の牛鍋屋の開店は、世相に先行したかなりの冒険で、創業時の幾多の苦心は今でも語り伝えられているほどです。 その後、生活の洋風化につれて、牛肉も次第に普及していきました。これは今まで味わったことのなかった牛肉が大層美味しいことと、身体に良い(美喰い)ことを知ったことによるものと思われます。 以来、明治・大正・昭和・平成と時代を重ね、六代にわたって当地で『すき焼き屋」を商うことができたのも、皆様のお引立ての賜と感謝いたしております。 伊勢重はこれからも「旨味をきり出す」手切りの技など、美味探求にこだわり続けてまいります。今後とも、ご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。