【会員制サーキット 千葉で発進】 高級車販売などのコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド (東京・港) は4月、 千葉県南房総市にアジア初の会員制サーキット「THE MACARIGAWA CLUB (ザ・マガリガワ・クラブ)」を開業する。 約100万㎡の敷地にレストランやスポーツジム、キッズスペースを備えたクラブハウスも併設。 正会員は約200人に達した。「好き」には糸目を付けない富裕層か注目を集める。 アクアラインを渡り、富津館山道路の終点「富浦IC」を出て、山あいの田舎道を進む。 東京都心から1時間弱。山中に要塞を思わせる巨大な建物が現れた。 山を切り開いたコースは1周3.5km。実際に走ると、峠道を思わせ起伏の連続が印象に残った。 クラブハウスも含めた総事業費は約250億円。「公道では高級車やスポーツカーを楽しめない。 走る心地よさを体験できなければ、いずれ購入理由がなくなる」(渡謙作社長) と大胆な投資を決めた。 正会員は当初、1口2,500万円で発売したが、段階的に価格を上げ足元では3,600万円で売り出している。 応募者を面談し、クラブ運営への意向や人柄を審査する。これまでに約200口を販売した。 開業後も順次会員権を発売し、500口の販売をめざす。会員権は転売することも可能だ。 「売れる自信があった」。事業を仕掛けた子会社のコーンズ富浦の金子正利代表は胸を張る。 都心からの近さに加え、広大な敷地だからこそのコース設計。 この好条件では2度と造れない可能性もあり、自慢の高級車を持て余した富裕層が殺到すると読んだ。 「『もっと高く売ればいいのに』と言う人もいる」(金子氏) 富裕層は狭く、信頼できるコミュニティーを好む。 大がかりな宣伝はなく、秘密基地のような山中に、同じ趣味を持った貴産家だけが集まる―。 マガリガワには富裕層の購買意欲をくすぐる要素が多い。 美術品やワインなど「好き」と資産性を兼ね備えた分野には資金を投じ、 さらに時間価値に重きを置く傾向もマガリガワの特徴に合う。 珍しい事業だけに懸念もある。クラブは正会員の合議で運営する。 レストランなど施設の利用料や運営方法を決める。 会員の主体的な参加を促し、クラブ経営を軌道に乗せ、資産価値を保てるかは不透明だ。 例えば、施設はイベントでも活用「20日程度貸せばランニング費用がまかなえる」(渡社長) が、会員が貸し出しを嫌がれば収入源が1つ減る。