中途採用やシニア採用の面接を担当する中で、質問は準備していても、「面接官としてどんな姿勢で臨むべきか」まで言語化している企業は少ないのではないでしょうか?

しかし、面接官の心得が曖昧なままだと、応募者の本質を見抜けずに採用ミスが起きたり、面接官ごとに評価がぶれたり、何気ない一言で応募者の志望度を下げてしまったりすることがあります。

面接官は単に質問をする人ではなく、応募者の情報を引き出し、自社に合う人材かを見極め、同時に企業の印象を左右する重要な存在です。だからこそ、面接の進め方だけでなく、「どんな意識で面接に臨むべきか」を理解しておくことが大切です。

この記事では、面接官の6つの心得を中心に、役割や面接前に準備しておくべきこと、面接中に意識したいポイントなどを、企業の採用担当者向けにわかりやすく解説します。
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目次

面接官が持つべき6つの心得とは?

「MIND]と書かれたブロックと会社員

面接官の心得とは、単なる精神論ではなく、応募者を正しく見極め、自社に合う人材かどうかを判断し、同時に企業の印象を損なわないために必要な実務上の基本姿勢のことです。

面接では質問内容そのものだけでなく、面接官の態度や言葉遣い、評価の仕方によって、応募者の受け取り方や選考結果が変わります。そのため、面接官には「どのような姿勢で応募者と向き合うか」という心得が求められるのです。

まずは、面接官が最低限押さえておくべき6つの心得を確認しておきましょう。

なお、以下の記事では、中途・シニア採用時の面接マニュアルについて解説しています。

中途・シニア採用の評価ブレを防ぐ質問集|面接マニュアル・テンプレート完全版!

企業の代表であることを認識する

面接官の心得1つ目は、企業の代表であることを認識することです。

面接官は、個人として応募者と向き合っているつもりでも、応募者からみれば「会社の代表」です。そのため、面接官の話し方や態度はそのまま会社の印象につながります

たとえば、面接官が高圧的だったり、質問が雑だったり、会社の説明が曖昧だったりすると、応募者は「この会社は人を大切にしないのかもしれない」「入社後のコミュニケーションも不安だ」と感じやすくなります。

反対に、丁寧で落ち着いた対応をし、必要な情報をわかりやすく伝えられる面接官は、応募者に安心感を与えられるでしょう。

面接官が企業の代表であるという自覚を持つと、自然と以下のような行動につながります。

企業の代表であることを自覚すると起こる行動
  • 応募者に対して丁寧で誠実な対応をする
  • 質問の意図を明確にして、不必要な圧迫感を与えない
  • 会社の魅力や働き方を事実ベースで正しく伝える
  • 個人的な感情ではなく、企業として適切な言動を意識する

「自分の発言や態度が会社全体の印象を左右する」という意識を持つことが、面接官の心得の出発点になります。

会社も選ばれる立場であることを認識する

面接官の心得2つ目は、応募者から見れば会社も選ばれる立場であることを認識することです。

「面接=企業が応募者を選ぶ場所」と思っている人は多いかもしれません。しかし、実際には応募者も企業を見ています。つまり、面接官は「選ぶ側」であると同時に、「選ばれる側」でもあるのです。

この意識がないまま面接に臨むと、どうしても「見極めること」ばかりに意識が向き、一方的で高圧的な面接になりやすくなります。

たとえば、応募者の話を十分に聞かずに質問を繰り返したり、会社説明をほとんどしなかったり、威圧的な口調で進めたりすると、応募者は「ここでは働きたくない」と感じてしまうかもしれません。

反対に、面接官も選ばれる立場であることを理解していると、自然と以下のような姿勢が身につくようになります。

選ばれる立場であることを理解していると身につく姿勢
  • 一方的に質問するだけでなく、応募者が安心して話せる空気をつくる
  • 会社の情報を隠さず、働き方や役割を誠実に伝える
  • 応募者の疑問や不安に対して、真摯に向き合う
  • 「評価する側だから偉い」という態度をとらない

特に中途採用やシニア採用では、応募者が一定の経験や実績を持っているケースが多く、「自分に合う会社か」「長く働けそうか」という視点で企業を慎重に見ています。

条件だけでなく、面接の雰囲気や面接官の人柄、会社としての誠実さまで含めて判断されるため、面接官の対応が応募辞退の要因になることも珍しくありません。

「応募者を見極めること」と「応募者に選ばれること」は、どちらか一方ではなく両立すべきものです。この視点を持てる面接官ほど、採用の質も安定しやすくなります。

先入観をもたない

面接官の心得3つ目は、先入観をもたないことです。

面接では、第一印象・話し方・学歴・年齢・転職回数など、応募者の一部の情報だけで無意識に評価を固めてしまうことがあります。しかしそのような先入観は、採用判断の精度を下げる大きな原因になるため、注意が必要です。

先入観を防ぐためには、以下のポイントを意識しましょう。

先入観を防ぐためのポイント
  • 第一印象だけで評価を決めず、最後まで話を聞く
  • 「なんとなく良い・悪い」ではなく、回答内容で判断する
  • 評価基準を事前にそろえ、面接官ごとの感覚の差を減らす
  • 学歴・年齢・話し方などではなく、職務との関連性で判断する
  • 面接後は、発言や事実をもとに記録する

面接官に求められるのは、「先入観をゼロにすること」ではなく、先入観を持ちやすいことを自覚し、それを抑える仕組みを整えることです。

面接で抱きやすい先入観は「確証バイアス」「類似性バイアス」「ステレオタイプバイアス」の3つです。公平で精度の高い面接を行うためにも、どのような先入観を持ちやすいのかを理解しておきましょう。

第一印象に引きずられる【確証バイアス】

確証バイアスとは、最初に抱いた印象を正しいと思い込み、その印象を裏付ける情報ばかりを集めてしまう心理傾向のことです。

たとえば、明るくハキハキした受け答えをするだけで「優秀そうだ」と感じ、その後は良い点ばかりに目が向き、弱点を深掘りしなくなることなどが該当します。

自分に似た人を高く評価する【類似性バイアス】

類似性バイアスとは、自分と似た経歴・価値観・苦労体験を持つ応募者に対して無意識に親近感を抱き、評価が甘くなる心理傾向のことです。

たとえば、「同じ業界出身だった」「似たキャリアの苦労を経験している」という共通点があると、本来確認すべきスキルや適応力よりも「合いそう」「分かり合えそう」という感情が先行してしまうことなどが該当します。

属性で決めつける【ステレオタイプバイアス】

ステレオタイプバイアスとは、学歴・年齢・性別・外見といった属性から能力や性格を一括りにして判断してしまう思考のことです。

たとえば、有名大学出身だから「優秀に違いない」と判断する、シニアだから「ITは苦手そう」と判断することなどが該当します。

応募者を尊重する

面接官の心得4つ目は、応募者を一人の社会人として尊重することです。

応募者は自社に興味を持ち、時間を使い、準備をして、緊張しながら面接に臨んでいます。面接官はその前提を理解し、応募者を尊重する姿勢で面接を行うことが大切です。

面接官が以下のような言動を行えば、応募者は自分を尊重してくれていると感じられるでしょう。

応募者を尊重する言動
  • 相手の話を最後まで聞く
  • 表情や相づちで「聞く姿勢」を示す
  • 質問の意図をわかりやすく伝える
  • わからないことを責めるのではなく、確認する姿勢で聞く
  • たとえ不採用の可能性が高くても、態度を変えない

応募者を尊重することは、単なるマナーの問題ではありません。応募者が安心して話せる状態でなければ、本音や具体的な経験を引き出しにくくなり、結果として面接の精度も下がってしまいます。

つまり、応募者を尊重する姿勢は、見極めの精度を高めるためにも重要なことなのです。

応募者を尊重することは、面接官としての礼儀であると同時に、企業の信頼を守るための基本姿勢でもあることをしっかり頭に置いておきましょう。

コンプライアンスを遵守する

面接官の心得5つ目は、コンプライアンスを遵守することです。

コンプライアンスが重視されている昨今、面接官が発した何気ない質問や雑談が不適切と捉えられ、企業リスクにつながるケースがあるため注意が必要です。

特に注意が必要なのは、以下のような仕事に関係のない個人情報に踏み込む質問です。

  • 家族構成
  • 結婚予定
  • 出身地
  • 宗教
  • 思想信条
  • 支持政党
  • 住宅事情など

上記の内容は応募者に不信感や不公平感を与えるだけでなく、企業の採用姿勢そのものを疑われる原因になるため、職務遂行に関係がない限り、面接で確認すべき内容ではありません。

また、近年は面接時の態度や言動も厳しく見られるようになっています。威圧的な口調、見下した発言、性的なニュアンスを含む言動、容姿や年齢に関する不適切なコメントなどは、ハラスメントや差別と受け取られるリスクがあるため厳禁です。

コンプライアンスを遵守するためには、面接官個人の常識に頼るのではなく、事前に以下のような基本を共通認識として把握しておきましょう。

コンプライアンスを遵守するための共通認識
  • 職務に必要な事項のみを確認する
  • 事前に「聞いてはいけない質問」を共有する
  • 雑談でも家族や私生活に踏み込みすぎない
  • 性別・年齢・国籍・障害などで判断しない
  • 不適切な発言が起こりにくいよう、質問項目を整理しておく

面接では、面接官の一度の失言や不適切な質問が、応募辞退や企業イメージの低下につながることもあります。

だからこそ、面接官には「企業として守るべきルール」として、コンプライアンスを理解しておくことが求められます。

評価に責任を持つ

面接官の心得6つ目は、評価に責任を持つことです。

面接官は面接で得た情報をもとに応募者の評価を行います。ただし、その評価は採否や入社後の配置や期待値の設定にまで影響することもあるため、自分の評価に責任を持つことが重要です。

面接でよくあるのが、「なんとなく合わない」「印象は良かった」「少し不安がある」という根拠の曖昧な評価です。

このような評価は、面接官本人の中では感覚的に成立しているように見えても、他の面接官や採用担当者に共有したときに判断基準が伝わりません。結果として、評価のぶれや採用判断の属人化につながります。

面接官が本当に責任を持つべきなのは、「自分がどう感じたか」ではなく、なぜその評価になったのかを説明できる状態にすることです。

「応募者のどの発言・どの行動・どの具体例を根拠にして、その評価に至ったのか」を言語化できるようにして、自分の評価に責任を持てるようにしておきましょう。

面接官の役割とは?

「MISSION」の文字を見る会社員

面接官は応募者から必要な情報を引き出し、適切に評価し、同時に企業としての信頼感も伝える必要があります。これらを実現するために必要な面接官の役割は、以下の3点です。

面接官の主な役割
  • 応募者の情報を引き出す【調査役】
  • 自社に合う人材かを見極める【見定め役】
  • 企業の印象を左右する【会社の看板役】

この3つの役割を意識することが、「感覚」ではなく「型」で面接を行うための土台となります。

応募者の情報を引き出す【調査役】

1つ目は、応募者の情報を正確に引き出す、調査役です。

面接官は履歴書や職務経歴書に書かれている情報をなぞるだけではなく、「どのような状況で」「どのような課題に直面し」「どのように考え」「どのように行動し」「どのような成果につなげたのか」という行動プロセスを構造的に引き出す必要があります。

調査役に必要なスキル
  • 適切な質問をする力
  • 回答を深掘りする力
  • 事実と解釈を切り分ける力
  • 抽象的な表現を具体化させる力

特に中途採用やシニア採用では、実績の数字そのものよりも「自社でも再現できるかどうか」を見極めることが重要になります。

自社に合う人材かを見極める【見定め役】

2つ目は、自社に合う人材かを見極める、見定め役です。

面接官は、自社の事業や風土、求める役割やチーム構成と照らし合わせて、本当に活躍できる人材かどうかを見極める必要があります。

応募者が話す内容はもちろん、以下のポイントからも応募者の本質を見極めることが重要です。

話の内容以外のポイント
  • 話し方や聞き方
  • 表現の仕方
  • 表情や姿勢
  • 受け答えのテンポ
  • 質問への向き合い方

いくらスキルや経歴が優れていても、「組織文化と合わない」「価値観のズレが大きい」「役割期待を受け入れられない」と判断できる場合は、将来的なミスマッチや早期離職のリスクが高くなるため、正しい判断をしなければなりません。

面接官は「優秀そうかどうか」を感覚で判断するのではなく、「自社で再現性高く力を発揮できるか」という視点で評価を行う必要があることを忘れないようにしましょう。

企業の印象を左右する【会社の看板役】

3つ目は、企業の印象を左右する、会社の看板役です。

応募者と直接接する面接官は、正に会社の看板です。そのため、採用サイトやパンフレットよりも、面接官の態度や言動次第で企業イメージは大きく左右されます。

話をきちんと聞いてくれた
尊重した姿勢で接してくれた
質問の仕方が誠実だった
説明がわかりやすかった

上記のような対応をすると「想像以上に良い会社だった」「この会社で働いてみたい」と好印象を与えられる一方で、高圧的な態度や不用意な発言を行うと、応募辞退や内定承諾率の低下のおそれがあるだけでなく、SNSなどで悪評を立てられてしまうリスクもあるのです。

求職者にとって、企業との直接の接点は面接官のみのケースが一般的です。そのため、面接官の印象はそのまま会社の信頼性や組織の成熟度、人を大切にする文化の有無として受け取られます

さらに、中途採用やシニア採用面接にくる経験豊富な応募者ほど、面接官の姿勢から企業の本質を敏感に読み取る傾向が強くなります。そのため、面接官には「見極める役割」だけでなく、応募者に安心感を与え、自社の魅力を正しく伝える役割も求められます。

面接官は常に「自分は会社の看板である」という自覚を持ち、評価者であると同時に、企業の魅力を正しく伝える役割も担っていることを忘れないようにすることが大切です。

面接官の心得不足で起こりやすい問題とは?

「MISTAKE」と書かれたボードを見る人

面接官の心得が曖昧なまま面接を行うと、応募者の本質を見抜けずに採用ミスが起きたり、面接官ごとに評価がぶれて判断が不安定になったり、応募者の志望度を下げて辞退につながったりするなど、採用活動全体の質に大きく影響します。

ここでは、面接官の心得が不足している場合に起こりやすい代表的な問題を確認しておきましょう。

応募者の本質を見抜けず採用ミスが起こる

起こりやすい問題1つ目は、応募者の本質を見抜けず、採用ミスにつながりやすくなることです。

たとえば、「話し方が上手い」「受け答えがスムーズ」「経歴が華やか」といった表面的な印象だけで優秀な人材と判断してしまうと、入社後に「思ったより動けない」「期待した役割を任せられない」といったミスマッチが起こりやすくなります

本来、面接で確認すべきなのは、見た目や雰囲気ではなく、自社で再現性高く力を発揮できるかどうかです。そのためには、応募者の回答を深掘りし、役割・行動・判断の具体性まで確認する必要があります。

「先入観をもたない」「評価に責任を持つ」といった基本的な心得が欠けていると、採用ミスのリスクが高まってしまいます。

なお、以下の記事では、中途・シニア採用で採ってはいけない人を見極める質問について詳しく解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。

シニア人材の採用ミスを防ぐ事前準備と判断基準も解説|中途・シニア採用で採ってはいけない人を見極める質問

面接官ごとに評価がぶれて判断が不安定になる

起こりやすい問題2つ目は、面接官ごとに評価の軸がずれやすくなり、判断が不安定になることです。

たとえば、面接官Aは話しやすさを重視し、面接官Bは実績の数字を重視し、面接官Cは自分の感覚で判断している状態では、同じ応募者を見ても評価が大きくぶれてしまいます

そして、面接官ごとの評価のぶれが大きいと、以下のような問題が起こりやすくなります。

面接官ごとの評価のぶれが大きいと起こる問題
  • 採用会議で意見がまとまらない
  • 「なぜその評価なのか」が説明できない
  • 面接官によって合格・不合格が変わる
  • 候補者比較がしづらくなる
  • 採用の再現性が低くなる

特に複数回の面接を行う中途採用では、一次・二次・最終で評価の視点が整理されていないと、「前の面接では高評価だったのに、次で急に評価が変わる」といった混乱も起こりやすくなります。

本来、面接は「誰が担当しても、ある程度同じ方向の判断ができる状態」が理想です。

理想の状態をつくるためには、面接官一人ひとりが「先入観をもたない」「感覚ではなく根拠で評価する」「自分の評価に責任を持つ」といった心得を共有していることが重要になります。

以下の記事では、一次・二次・最終面接の役割や引き継ぎ方法まで詳しく解説しています。

事前準備から一次・二次・最終面接の役割・引き継ぎまで徹底解説|中途・シニア採用面接の流れと評価基準

応募者の志望度が下がり辞退につながる

起こりやすい問題3つ目は、応募者の志望度を下げてしまい、辞退につながる可能性が高くなることです。

面接官の中には、「面接は応募者を見極める場だから、厳しく接しても問題ない」と考えてしまう人もいるかもしれません。

しかし実際には、応募者も面接を通じて「この会社で働きたいか」「安心して入社できそうか」を見ているため、面接官の態度や言葉遣い、説明の仕方などは応募意欲に大きく影響します。

応募者の志望度を下げやすい面接官の言動
  • 話を最後まで聞かずに遮る
  • 無表情・無反応で進行する
  • 上から目線で質問する
  • 会社説明が雑で、情報が不足している
  • 応募者の不安や質問に真摯に向き合わない

上記のような面接を受けた応募者は、「この会社は人を大切にしないのではないか」「入社後の上司もこんな雰囲気なのではないか」と感じてしまいやすく、条件面に大きな問題がなくても、応募を辞退する可能性が高くなってしまいます

特に中途採用やシニア採用では、経験豊富な応募者ほど面接官の言動から、組織の成熟度や現場の雰囲気、人を大切にする文化の有無などを敏感に読み取る傾向があります。そのため、面接官は言動に特に注意が必要です。

面接官には、自社も選ばれる立場であるという心得が必要です。この意識があるかどうかで、内定承諾率も大きく変わってきます。

不適切な質問や失言によって企業リスクが高まる

起こりやすい問題4つ目は、不適切な質問や失言によって企業リスクが高まることです。

家族や私生活に踏み込んだ質問、年齢や性別を前提にした発言、威圧的な態度や失礼な言い回しなどは、応募者に強い不信感を与えやすいポイントです。

面接官本人に悪気がなくても、応募者から見れば「会社としての対応」として受け取ることが多く、口コミサイトやSNSで面接体験が共有され、企業イメージの低下を招くおそれもあります。

場合によっては、「この会社は公平な採用をしていない」「人を大切にしない会社だ」という印象を持たれてしまうこともあるでしょう。

面接官の言動は個人の問題で済まされないケースが多いからこそ、何を聞くべきかだけでなく、どのように接するべきかまで含めて、面接官としての基本姿勢を徹底しておくことが大切です。

面接官が面接の前に準備しておくべきこと

チェックリストと虫めがね

面接官は、面接の前に「何を確認するのか」「何を見極めるのか」「どこに注意すべきか」を把握しておく必要があります。

ここでは、面接官が面接の前に準備しておくべきことを解説します。

求める人物像と評価基準を確認する

面接前の準備としてまず最初に行うべきことは、求める人物像と評価基準の確認です。

たとえば、即戦力を求めるのか、育成前提なのか、現場での協調性を重視するのかによって、面接で確認すべき内容は変わってきます。

特に中途採用やシニア採用では、経験やスキルだけでなく、自社の環境でも再現性高く活躍できるかという視点が重要です。

求める人物像や評価基準を明確にするためにも、以下のポイントは事前に整理しておきましょう

事前に決めておくべき基準
  • 必須条件(Must)
  • あると望ましい条件(Want)
  • 懸念が大きい要素(NG)
  • 面接で特に見たい行動特性(例:主体性、協調性、責任感、柔軟性など)

まずは自分の感覚ではなく、会社としての採用基準に立ち返ることが大切です。

以下の記事では、評価方法の基本や評価シートの作り方について解説しています。

面接官ごとの評価ブレを防ぐ!面接評価シートの作り方|中途採用の面接評価シートテンプレート

【採用担当者向け】採用ミスを防ぐ5段階評価と職種別の設計例|面接評価シート項目の設計方法

質問項目を整理する

面接の前には、質問項目もあらかじめ整理しておきましょう。

面接の場で、その場しのぎに質問を考えていると、応募者によって聞く内容にばらつきが出やすくなるため、公平な比較が難しくなります

また、質問が整理されていないと、面接官が聞きやすいことばかりを聞いてしまい、本来確認すべきポイントが抜けることもあります

実際に、経歴の確認ばかりで終わり、実際の行動や判断、トラブル対応や周囲との関わり方など、入社後の再現性に関わる重要な情報を引き出せないケースは少なくありません。

そのため、面接前には以下のように質問を整理しておくのがおすすめです。

全員に共通して確認する質問
  • 職種やポジションごとに確認する質問
  • 履歴書・職務経歴書を見て個別に深掘りする質問
  • 働き方や役割期待をすり合わせる質問

質問項目を整理しておくことで、面接の質が安定しやすくなるだけでなく、面接官自身も落ち着いて面接に臨めるようになるでしょう。

面接の流れや中途・シニア採用で使える質問例を場面別に解説|そのまま使える!面接官の質問一覧130選

型別テンプレート・評価基準を把握して評価のばらつきを防ぐ面接設計に!|構造化面接の質問例と作り方の完全版

聞いてはいけない質問を把握する

聞いてはいけない質問を事前に把握しておくことも重要です。

面接は、本人の適性や能力、職務への適性を確認することが目的です。そのため、仕事に直接関係のない個人情報や、差別につながるおそれのある内容に踏み込む質問は避けなければなりません。

  • 家族構成や家庭環境
  • 結婚・出産の予定
  • 出身地や本籍
  • 宗教や思想信条
  • 恋人の有無や私生活に関すること

こうした質問は、面接官本人に悪気がなくても、応募者に不信感や不公平感を与えやすく、企業リスクにもつながります。雑談の流れで、つい聞いてしまいやすい可能性もあるため、十分に注意しましょう。

また、中途採用やシニア採用では、勤務条件を確認するうえで、年齢や健康、家庭事情などに触れざるを得ない場面もあるかもしれませんが、「確認してよいこと」と「踏み込みすぎること」の線引きには注意が必要です。

NG質問を回避する方法や代替質問を厚生労働省基準で紹介|中途・シニア面接で聞いてはいけない質問

伝えるべき情報を整理する

面接前には「何を聞くか」だけでなく、「何を伝えるか」も整理しておくことが大切です。

面接官の中には、「まずは応募者を評価することが優先」と考え、会社説明を軽く済ませてしまうケースもあります。しかし、会社や仕事の実態が十分に伝わらないと、応募者に会社の魅力が伝わらず、結果として志望度が下がる可能性があります。

伝えるべき情報をしっかり伝えるために、事前に以下のような情報を準備しておきましょう

応募者に伝えるべき主な情報
  • 配属予定の部署や担当業務
  • 求める役割や期待していること
  • 働き方(勤務時間・残業・シフト・出張・転勤など)
  • 現場の体制やチームの特徴
  • 最初に任せる業務

上記のような情報を事実ベースで伝えられると、応募者に安心感を与えられるでしょう。

面接官は評価者であると同時に、企業の魅力や実態を正しく伝える役割も担っていることを忘れないことが大切です。

履歴書や職務経歴書を読み込んでおく

意外と差が出やすいのが、履歴書や職務経歴書をどこまで読み込んでいるかです。

書類を十分に確認せずに面接に入ると、履歴書に書いてある内容をそのまま聞き直すだけになったり、深掘りすべきポイントを見落としたりしやすくなります。

その結果、応募者側も「ちゃんと見てもらえていない」と感じやすくなり、面接の質も下がってしまいます。

一方で、事前に書類を読み込んでおけば、面接の中で確認すべきポイントが明確になります。以下のような観点でメモしておくと、面接が進めやすくなるでしょう。

履歴書や職務経歴書を読む際にチェックするポイント
  • 実績や成果の数字に違和感がないか
  • 深掘り質問が必要な項目はあるか
  • 転職理由やキャリアの変化で確認したい点はどこか
  • 自社での役割とつながる経験はどこか
  • 面接で追加確認したい懸念点は何か

特に中途採用やシニア採用では応募者の職務経歴の情報量が多く、経歴だけでは判断しにくいケースが多いため、書類をしっかり読み込んだうえで、面接を「書類だけでは見えない部分を引き出す場」にすることが重要です。

ただし、面接の準備を整えても、そもそも条件に合う応募者と出会えなければ、採用は前に進みません。面接を効率的に機能させるためには、自社に合う人材と出会える母集団づくりもあわせて進めておくことが大切です。

シニア求人情報を無料で掲載できるサービス」を活用すれば、条件に合う応募者と出会いやすい状態がつくれ、面接では見極めに集中しやすくなります。

面接官が面接中に意識すべきこと

「keep in mind」と書かれたスケッチブックを見る会社員

面接官としての心得は、面接の場でどのように振る舞うかによって、初めて実務に活かされます。

事前に評価基準や質問項目を整理していても、面接中の態度や言動によって、応募者から得られる情報の質や企業に対する印象は大きく変わるため、面接官には応募者の本質を見極める視点と、安心して話せる場をつくる姿勢の両方が求められます。

ここでは、面接官が面接中に意識すべきことを確認しておきましょう。

話しやすい雰囲気づくりを心がける

面接では、応募者が落ち着いて話せる雰囲気をつくることが大切です。

応募者が必要以上に緊張していると、本来の考え方や強み、これまでの経験が十分に引き出しにくくなります。そうなると面接官も表面的な受け答えだけで判断してしまい、見極めの精度が下がってしまうため、お互いにとって望ましくありません。

応募者の本質を引き出すためには、応募者が自分の言葉で話しやすい状態を整えることが重要です。

話しやすい雰囲気づくりの例
  • 最初に面接の流れや所要時間を簡単に伝える
  • 面接官側から自己紹介をする
  • 表情や相づちで「聞く姿勢」を示す
  • いきなり深い質問に入らず、答えやすい質問から始める
  • 応募者が考える時間を急かさず、落ち着いて待つ

上記のような配慮があると、応募者は安心して話しやすくなり、面接官も必要な情報を引き出しやすくなります。話しやすい雰囲気づくりは、応募者への配慮であると同時に、面接の精度を高めるための準備でもあることを意識しましょう。

第一印象で決めつけすぎない

面接では第一印象に左右されすぎず、回答を丁寧に確認することが重要です。

応募者が入室した瞬間の雰囲気や第一声、話し方、服装、表情などから、「この人は良さそう」「少し合わないかもしれない」と感じることは自然なことです。

ただし、その印象を早い段階で評価に結びつけてしまうと、その後の質問や受け取り方まで偏りやすくなるため注意が必要です。

たとえば、最初に好印象を持った応募者には甘めの見方をしやすくなり、逆に最初に違和感を持った応募者には厳しめに見てしまうことがあります。このような状態になると、無意識に質問の深さや評価の基準が変わってしまい、公平な比較が難しくなります。

面接では、第一印象は参考情報のひとつとして受け止めつつも、評価は最後まで保留にしながら、回答内容や具体的なエピソードを丁寧に確認する姿勢が大切です。

面接官は、以下のポイントを意識し、第一印象だけに引っ張られないように意識しましょう。

注意ポイント
  • 面接の前半で合否の方向性を決めない
  • 印象ではなく具体的な回答内容をメモする
  • 評価項目ごとに分けて考える
  • 違和感がある場合は、決めつけず追加質問で確認する
  • 面接後に、事実と解釈を分けて整理する

最後までフラットに話を聞く姿勢が、面接の公平性と精度を保つことにつながります。

応募者の回答を遮らない

面接では、応募者の回答を最後まで聞いたうえで、必要なポイントを整理しながら深掘りすることが大切です。

応募者が話している途中で、面接官が結論を急いだり、言葉を補いすぎたりすると、本来確認したい情報が取りにくくなることがあります。

特に、応募者が自分の考え方や課題への向き合い方を話しているときに回答を遮ってしまうと、応募者の本質が見えにくくなってしまいます

また、回答の途中で何度も遮られると、応募者は「急かされている」「きちんと聞いてもらえていない」と感じやすくなり、その結果、緊張が強くなったり本来の力を出しにくくなったりすることもあるため、聞く姿勢には注意が必要です。

面接官として意識したいのは、まず応募者の話を一通り受け止め、そのうえで必要な部分を整理して確認することです。

面接官は以下のポイントを意識すると、必要な情報を引き出しやすくなるでしょう。

聞く姿勢のポイント
  • まずは最後まで話を聞く
  • 話が広がった場合は、あとで要点を確認する
  • 足りない部分だけを追加で質問する
  • 途中で結論を決めつけず、流れをつかむ
  • 「今の部分をもう少し詳しく教えてください」と補足を促す

調査役としての役割を果たすためにも、面接官は「自分が話す」よりも、「相手が話しやすく、必要な情報を出しやすい状態をつくる」ことを意識しましょう。

会社の魅力を伝える

面接では、会社の魅力や実態をわかりやすく伝えることも重要です。

応募者にとって面接は、自分が評価される場であると同時に、「この会社で働きたいか」「自分に合う環境か」を判断する場でもあります。

特に中途採用やシニア採用では、応募者側も仕事内容や期待される役割、現場の雰囲気や働き方の実態を重視しているケースが多く、表面的な会社説明だけでは判断材料が足りないこともあります。

だからこそ、面接官には会社の魅力をきれいに見せるのではなく、実態を誠実に伝える役割が求められます

面接中に伝えるべき会社の内容
  • 配属後に期待している役割
  • 一緒に働くチームの雰囲気や体制
  • 現場で求められること
  • 仕事のやりがいや難しさ
  • 入社後に最初に任せる業務のイメージ

ここで大切なのは、良い面だけを強調しすぎず、現場の実態や求めるレベル感もあわせて伝えることです。

面接官は評価者であると同時に、会社の看板役でもあります。応募者が「この会社なら安心して働けそうだ」と感じられるように、面接の中で必要な情報を丁寧に伝えることを意識しましょう。

面接官の心得を把握することが採用ミス防止への第一歩

書類をチェックする面接官

面接官の心得を明確にすることで、面接は「なんとなく判断する場」から、「根拠を持って見極める場」に変わります。

先入観や印象に流されず、応募者の経験や行動を丁寧に確認し、企業の代表として誠実に向き合える面接官が多いほど、採用ミスや評価のぶれ、応募辞退のリスクは減らしやすくなります。

ただし、面接の質を高めても、そもそも条件に合う応募者と出会えなければ、採用活動は前に進みません。面接で「見極める力」を磨くこととあわせて、最初から自社に合う人材と出会いやすい母集団をつくっておくことも重要です。

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シニア層を中心とした中途採用支援に長年携わり、企業の採用要件整理や面接設計、評価基準の策定やミスマッチ防止までを一貫して支援。これまでに多数のシニア人材の面接・キャリア相談に関わってきた実務経験をもとに、年齢バイアスを排除した公正な評価手法と再現性のある採用プロセスを構築している。