高齢者採用を進める企業が増えている理由とは?

高齢者採用に取り組む企業は年々増加しています。その背景には少子高齢化による労働力不足だけでなく、「経験豊富な人材を活用したい」という企業側のニーズがあります。
働き続けることを希望する高齢者も増えており、企業と求職者の双方にとって高齢者雇用の重要性が高まっています。
ここでは、高齢者採用が注目されている主な理由を確認していきましょう。
以下の記事では、シニア採用のメリットやシニア人材を採用する際のポイントについて詳しく解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。
シニア人材を採用すべき理由から注意点・成功事例・採用成功の進め方まで|【企業向け】シニア採用のメリットを解説
構造化面接でそのまま使える!【確認ポイント+質問例+注意点】|面接官向け!シニア採用面接の質問例と評価基準
60歳以上の就業者数が増え続けているため
高齢者採用が広がっている理由の1つには、60歳以上の就業者数が増え続けていることが挙げられます。
まずは、「令和6年版高齢社会白書」から、2023年の60歳以上の就業者数を確認してみましょう。
60歳以上の就業者数(2023年)
- 60〜64歳:569万人
- 65~69歳:394万人
- 70歳以上:537万人
労働力人口全体6,925万人に対する65歳以上の就業者の割合は13.4%と、労働者の約7人に1人が65歳以上であることがわかります。
■60歳以上の就業者数の推移

さらに、70歳以上の就業者数は20年連続で前年を上回っています。現在は高齢者が働くことが特別なことではなくなっており、多くの企業にとって一般的な雇用の選択肢になっています。
これまでは定年退職後に仕事を離れることが一般的でした。しかし現在は、定年後も継続して働く人や、新たな職場へ転職する人も珍しくありません。
こうした社会環境の変化に合わせて、高齢者人材を積極的に採用する企業が増えています。
※1:内閣府|令和6年版高齢社会白書・第2節高齢期の暮らしの動向
働き続けたい高齢者が増えているため
働く意欲を持つ高齢者が増えていることも、高齢者採用が注目される理由の1つです。
高齢者が働き続けたいと思う理由は、収入の確保だけではありません。もちろん、「年金を受給しながら生活費の足しにしたい」と考える人も多いですが、社会とのつながりを維持したい人や、これまで培った経験を活かしたいと考える人も大勢います。
また、医療技術の進歩や生活環境の改善によって健康寿命が延びていることも影響しています。65歳を超えても元気に働ける人が増えているため、高齢者人材を戦力として受け入れる企業が増えているのです。
高齢者の就業意欲が高まっていることは、企業にとって新たな採用機会の拡大につながるでしょう。
人手不足や技能継承の課題を解決できるため
人手不足や技能継承の課題を解決できることも、高齢者採用が進む大きな理由です。
現在は、少子高齢化の影響により、多くの業界で人材確保が問題となっています。特に建設業や運輸業、医療・福祉業、サービス業では慢性的な人手不足が続いており、経験者の確保が求められています。
その点、高齢者人材は長年の実務経験や専門知識を持っている人が多く、即戦力として活躍できる可能性があります。業務の進め方や顧客対応のノウハウを若手社員へ伝える役割も期待できるでしょう。
熟練した技術や現場経験を次世代へ引き継ぐことは、多くの企業にとって重要な課題です。高齢者採用によってベテラン人材が活躍する場を確保できれば、技能継承も進めやすくなります。
単なる人員補充だけではなく、組織全体の知識や技術を維持するための取り組みとしても、高齢者採用への関心は高まっています。
高齢者採用を行う企業にはどのようなメリットがある?

高齢者採用は人手不足の解消だけでなく、長年の経験や専門知識を持つ人材を確保できるほか、技能継承や人材育成にも役立つメリットがあります。
ここでは、高齢者採用によって企業が得られる主なメリットを確認していきましょう。
経験や専門知識を即戦力として活かせる
1つ目のメリットは、豊富な経験や専門知識を持つ人材を確保できることです。
長年にわたり同じ業界や職種で働いてきた人は、業務に必要な知識や実務スキルを身につけています。そのため、入社後の教育期間を短縮しやすく、比較的早い段階で戦力として活躍できる傾向があります。
また、業界特有の商習慣や顧客対応のノウハウを持つ人材であれば、現場の課題解決にも貢献しやすくなります。
経験豊富な人材を採用できれば、組織全体の業務品質向上にもつながるでしょう。
若手社員への技能継承につながる
2つ目のメリットは、若手社員への技能継承につながることです。
近年は、ベテラン社員の退職による技術やノウハウの損失を懸念する企業も増えています。
しかし、高齢者人材が現場で働きながら若手社員を指導することで、マニュアルだけでは伝えづらい実践的な知識や経験を共有できるようになります。
特に建設業や製造業、運輸業などでは、現場経験そのものが重要な価値を持つケースも少なくありません。
将来的な人材育成を見据えた取り組みとしても、高齢者採用は重要な選択肢の1つといえるでしょう。
安定した人材の確保につながる
3つ目のメリットは、安定した人材の確保につながることです。
人材不足が続く職種では、高齢者採用によって採用機会を広げられる場合があります。
例えば、建設業や運輸業、医療・福祉業、サービス業では慢性的な人材不足が課題となっています。若手人材の確保が難しい状況のなか、高齢者人材を採用対象に含めることで応募者層を広げることが可能です。
さらに、フルタイム勤務だけでなく、短時間勤務や週数日勤務など柔軟な働き方を取り入れると、企業と求職者の条件が合いやすくなるでしょう。
顧客対応や人材育成に強い人材を確保できる
4つ目のメリットは、顧客対応や人材育成に強い人材を確保できることです。
高齢者人材は、これまで多くの顧客や取引先と関わってきた経験から、落ち着いた対応や円滑なコミュニケーションができる人が多いです。接客業やサービス業では、その経験が企業の信頼向上につながることもあります。
また、若手社員の相談役や教育担当として活躍するケースも少なくありません。業務知識だけでなく、仕事への向き合い方や社会人としての心構えを伝えられることも、高齢者人材ならではの強みです。
組織全体の成長を支える存在として活躍できる点も、高齢者採用のメリットといえるでしょう。
助成金を受け取れる場合がある
5つ目のメリットは、「65歳超雇用推進助成金」や「特定求職者雇用開発助成金」を活用できる場合があることです。
なお、制度の内容は改定されることがあるため、申請前には厚生労働省のホームページなどで最新情報を確認してください。
65歳超雇用推進助成金
65歳超雇用推進助成金は、高年齢者が年齢にかかわらず働き続けられるよう、企業が雇用制度や雇用管理を整備した場合に活用できる助成金です。
対象となる例
- 65歳以上への定年引上げ
- 継続雇用制度の導入
- 高齢社員が働きやすい評価制度・勤務制度の導入
- 50歳以上かつ定年前の有期契約社員の無期雇用への転換など
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が案内しており、「65歳超継続雇用促進」「高年齢者評価制度等雇用管理改善」「高年齢者無期雇用転換」など、複数のコースがあります。
項目 | 65歳超継続雇用 | 高年齢者評価制度等 | 高年齢者無期雇用 |
|---|---|---|---|
概要 | ・65歳以上への | ・高年齢者が働きやすい | ・有期契約の高年齢者を |
支給額 | 15万円~最大240万円 | 実施費用の一部を助成 | 対象者1人につき、 |
主な支給要件 | ・定年引上げ | ・高齢社員向けの | ・50歳以上かつ |
特定求職者雇用開発助成金
特定求職者雇用開発助成金は、高年齢者や障害者等の就職困難者を、ハローワーク等の紹介により継続して雇用する事業主を支援する助成金です。
対象者の状況、紹介経路、雇用保険の被保険者区分、継続雇用の見込みなど、複数の要件を満たす場合に対象となります。
65歳以上の人材採用で活用できるかどうかは、対象者の条件や採用経路によって異なるため、申請前に厚生労働省の最新情報や管轄のハローワーク等で確認してください。
主な対象となる取り組みは以下の通りです。
支給要件
- ハローワークまたは民間職業紹介事業者などの紹介による採用である
- 雇用保険一般被保険者として継続雇用する
- 対象となる高齢者を雇い入れる
- 一定期間以上の雇用継続が見込まれる
支給額は、企業規模や労働時間により30~60万円と異なります。(2026年度)
65歳超雇用推進助成金や特定求職者雇用開発助成金の詳細は、以下の記事で解説しています。
シニア人材を採用する企業が押さえるべき助成金・社会保険のポイント|65歳以上人材の採用で知っておきたいこと
※3:厚生労働省|特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
高齢者採用が進んでいるのはどのような業種?

高齢者採用は幅広い業種で進んでいますが、特に人手不足が深刻な業界や、経験・専門知識が重視される業界で広がっています。
また、接客や営業、技術職や現場管理など、さまざまな職種で経験豊富な人材への需要が高まっています。
■主な産業別65歳以上の就業者数

業種 | 65歳以上の就業者数 | 就業者に占める割合 |
|---|---|---|
農業・林業 | 99 | 52.9 |
建設業 | 81 | 16.8 |
製造業 | 88 | 8.3 |
情報通信業 | 7 | 2.5 |
運輸業・郵便業 | 41 | 11.7 |
卸売業・小売業 | 132 | 12.7 |
金融業・保険業 | 7 | 4.5 |
不動産業 | 37 | 26.6 |
学術研究・専門・技術サービス業 | 33 | 12.9 |
宿泊業・飲食サービス業 | 58 | 14.6 |
生活関連サービス・娯楽業 | 44 | 19.6 |
教育・学習支援業 | 35 | 10.2 |
医療・福祉 | 107 | 11.8 |
サービス業 | 104 | 22.7 |
公務 | 12 | 4.7 |
※4:内閣府|令和6年版高齢社会白書・第2節高齢期の暮らしの動向
ここでは、高齢者採用が進んでいる主な業種を確認していきましょう。
卸売業・小売業では豊富な経験を活かしやすい
卸売業・小売業は、高齢者が活躍している代表的な業種の1つです。
店舗運営や接客販売では、これまでの社会経験やコミュニケーション能力を活かせる場面が多くあります。顧客との会話や丁寧な対応が求められる業務では、高齢者人材の経験が強みになることも少なくありません。
また、商品の管理や在庫確認、売場づくりなど、経験を活かしながら働ける業務も豊富です。短時間勤務やシフト勤務との相性も良く、多様な働き方を取り入れやすい業界であることも高齢者との相性がいいでしょう。
サービス業・不動産業でも活躍の場が広がっている
サービス業や不動産業でも高齢者採用への関心が高まっています。
サービス業では、接客や案内業務、施設管理など幅広い業務で高齢者人材が活躍しています。高齢者人材のもつ顧客との信頼関係を築く力や落ち着いた対応力は、大きな強みです。
不動産業では営業経験や顧客対応経験を活かせるほか、物件管理やオーナー対応などの業務でも活躍が期待されています。
また、近年は働き方が多様化しており、専門知識や経験を活かせる職場も増えています。今後も高齢者人材を積極的に採用する企業が増えていくでしょう。
建設業・運輸業では技能や現場経験が評価されている
建設業や運輸業は、長年培った技能や現場経験が貴重とされる業界です。
建設業では施工管理や安全管理、技術指導などの分野で経験豊富な人材が求められています。若手社員への技術継承という観点からも、高齢者人材への期待は大きくなっています。
運輸業でもドライバー経験や運行管理の知識を持つ人材への需要が高く、人材不足への対応として高齢者採用を進める企業が増えています。
高齢者向けの雇用制度を導入している企業の割合の高い建設業や運輸業は、今後も高齢者が活躍しやすい環境づくりが進むでしょう。
医療・福祉では人材不足の解消につながる
医療・福祉業界でも高齢者採用が進んでいます。
高齢化社会の日本では、介護や福祉サービスの需要は年々増加しており、人材確保は業界全体の大きな課題となっています。
介護職や支援業務だけでなく、受付や利用者対応など、高齢者人材が活躍できる業務はさまざまです。人生経験が豊富な人材は利用者やその家族とのコミュニケーションにも強みを発揮しやすいでしょう。
実際に、医療・福祉業界では高齢者の就業者数が増加しており、今後も活躍の場が広がることが期待されています。
高齢者採用に成功している企業の事例

高齢者採用を成功させている企業には、「経験や能力を発揮しやすい制度や職場環境を整備している」という共通点があります。
ここでは、高齢者採用に成功した企業の事例をみていきましょう。
【定年延長と処遇改善で意欲向上を実現した】大手生命保険会社の例
ある大手生命保険会社では、高齢社員の活躍を促進するために、定年年齢を引き上げるとともに、年齢のみを理由とした処遇の引き下げを見直しました。
従来は一定年齢を超えると役職や待遇が下がる仕組みがありましたが、制度改定後は役割や成果を重視する評価制度へ変更しています。
その結果、高齢社員の働く意欲が向上し、定年前に退職する社員の減少にもつながりました。
年齢ではなく役割や能力を重視する制度が、高齢者雇用の成功につながった事例といえるでしょう。
【継続雇用率を大幅に向上させた】総合小売業会社の例
ある総合小売業会社では、定年後も正社員に近い形で働き続けられる制度を導入しました。
従来は短時間勤務や限定的な働き方が中心でしたが、高齢社員の希望に応じてフルタイム勤務を選択できる仕組みを整備しています。
また、仕事内容や役割に応じて適切な評価を行う制度も導入しました。
その結果、定年後も働き続ける社員が増加し、継続雇用率の向上につながっています。
高齢者の働き方を限定せず、多様な選択肢を用意したことが成功要因につながった事例です。
【経験者の活躍機会を拡大した】建設・不動産業会社の例
ある建設・不動産業会社では、高齢社員の経験を活かせる業務を積極的に用意しています。
現場作業だけではなく、施工管理や安全管理、技術指導などの業務にも高齢社員を配置して若手社員への技術継承を進め、希望や能力に応じて働き方を選べる制度も導入しました。
その結果、多くの社員が定年後も働き続けており、経験豊富な人材の流出防止につながっています。
高齢者を補助的な人材としてではなく、重要な戦力として位置付けた事例です。
【役割重視の制度へ転換した】製造会社の例
ある製造会社では、年齢によって働き方や処遇を決めるのではなく、担当する役割を基準に評価する制度へ変更しました。
また、定年制度の見直しに加え、管理職だけでなく専門職として活躍できるキャリアパスも整備しています。
さらに、高齢社員との面談機会を増やし、今後の働き方やキャリアについて早い段階から確認する仕組みも導入しました。
これらの取り組みによって、高齢社員の継続就業が進み、専門知識や技術の継承にもつながっています。
年齢ではなく役割を重視する考え方は、高齢者採用を成功させるうえで参考になる取り組みでしょう。
高齢者採用を成功させるポイントとは?

高齢者採用を成功させるためには、採用活動だけに目を向けるのではなく、入社後に活躍できる環境を整えることが重要です。
実際に高齢者雇用が進んでいる企業では、評価制度や業務内容、働き方の選択肢などを見直し、高齢者が能力を発揮しやすい仕組みづくりを進めています。
ここでは、高齢者採用を成功させるために企業が押さえておくべきポイントを紹介します。
年齢ではなく役割で評価する
1つ目のポイントは、年齢ではなく担当する役割や成果を基準に評価することです。
従来は一定年齢に達すると、役職や給与を一律で引き下げる企業も少なくありませんでした。しかし近年は、年齢に関係なく役割や責任に応じて評価する考え方が広がっています。
同じ業務を担当しているにもかかわらず、年齢だけを理由に評価や待遇に大きな差を設けると、高齢社員のモチベーション低下につながる可能性があります。
高齢者の経験や能力を活かすためにも、役割を基準とした評価制度の導入を検討してみましょう。
経験を活かせる業務を用意する
2つ目のポイントは、経験や知識を活かせる業務を用意することです。
高齢者人材の強みは、長年の実務経験や専門知識にあります。そのため、単純作業だけを任せるのではなく、経験を活かせる業務を担当してもらうことで、より大きな成果が期待できます。
例
- 若手社員への技術指導や教育担当
- 顧客対応
- 品質管理
- 安全管理
上記のような業務は、高齢者人材が活躍しやすい業務でしょう。
これまで培ってきた知識やノウハウを組織全体で活用できる環境づくりが、高齢者採用の成功につながります。
働き方の選択肢を複数用意する
3つ目のポイントは、一人ひとりの希望や体力に合わせた働き方を選べるようにすることです。
高齢者の働く目的やライフスタイルはさまざまです。フルタイムで働きたい人もいれば、短時間勤務や週3日勤務を希望する人もいます。
また、専門知識を活かして特定分野の業務を担当したいと考える人も少なくありません。
そのため、以下のように複数の働き方を用意しておくことで、多様な人材を受け入れやすくなります。
働き方の選択肢
- フルタイム勤務
- 短時間勤務
- 週3日勤務
- 専門職としての継続雇用
企業側にとっても、人材確保の選択肢が広がることにつながるでしょう。
健康管理や安全対策を整備する
4つ目のポイントは、高齢者が安心して働けるよう、健康管理や安全対策を整備することです。
年齢を重ねると、体力や身体機能に個人差が生じやすくなるため、高齢者の特性に配慮した安全対策や健康管理が求められます。
例
- 作業負担の見直し
- 休憩時間の確保
- 転倒防止対策
- 熱中症対策
企業には「高年齢者の労働災害防止のための指針」に基づき、高齢労働者の安全や健康に配慮した職場環境づくりが求められています。
高齢者が長く活躍できる環境を整備することは、定着率の向上や労働災害の防止にもつながります。採用後の活躍を見据えた取り組みとして、健康管理や安全対策にも継続的に取り組むことが大切です。
そして、高齢者を採用する体制が整ってくると、次に悩むのが「そもそも面接に呼べるシニア応募者が集まらない」という問題です。高齢者採用の体制を整えた段階で、候補者に会える母集団づくりまでセットにしておくと、採用は一気に進みやすくなります。
そこで、まずは「シニア求人情報を無料で掲載できるサービス」を活用し、条件に合う応募が集まる状態を作っておくのがおすすめです。面接では「人柄」「意欲」「再現性」の見極めに集中できます。
高齢者採用を行う企業が事前に押さえておくべきこと

高齢者採用には多くのメリットがありますが、進め方によってはトラブルにつながる可能性もあります。
特に、高齢者雇用に関する法令や待遇面への配慮が不足している場合、採用後のミスマッチや労務問題が発生することもあります。
高齢者採用を長期的な戦力確保につなげるためにも、事前に確認しておくべきポイントを押さえておきましょう。
年齢のみを理由に採否を判断しない
高齢者採用では、年齢だけを理由に採否を判断しないことが重要です。
現在は、募集・採用時に年齢を理由として応募機会を制限することは、原則として認められていません。「高齢者だから採用しない」「若い人材を優先する」という判断は、法令上の問題につながる可能性があるため、注意が必要です。
採用選考では、年齢ではなく、業務遂行能力や経験、保有資格や勤務条件などを総合的に確認しましょう。
年齢に関係なく、自社で求める役割を担える人材かどうかという視点で判断することが重要です。
再雇用後の賃金や待遇を明確にする
定年後の再雇用制度を導入する場合は、賃金や待遇を事前に明確にしておくことが重要です。
高齢者雇用に関するトラブルのなかには、再雇用後の給与や賞与、手当の取り扱いをめぐるものも少なくありません。
特に、定年前とほぼ同じ業務を担当しているにもかかわらず、大幅な賃金引き下げが行われると、不満やトラブルの原因になる可能性があります。
再雇用後の労働条件は、契約締結前に丁寧に説明し、本人に十分に理解してもらったうえで合意することが大切です。
企業と従業員の認識の違いを防ぐためにも、労働条件通知書や雇用契約書の内容を明確にしておきましょう。
可能な限り職務内容を大きく変更しないようにする
高齢者の経験や能力を活かすためには、職務内容にも配慮が必要です。
体力面への配慮から業務内容を調整することは大切ですが、これまでの経験と大きく異なる職種へ配置転換すると、能力を十分に発揮できない可能性があります。
例えば、長年事務職として働いてきた人材に対して、経験との関連性が低い業務を担当させるようなケースは注意が必要です。
「これまでの知識や経験を活かしたい」という目的で働く高齢者も大勢います。本人の能力やキャリアを踏まえながら、経験を活かせる業務を中心に配置を検討することが望ましいでしょう。
法令や就業規則に沿って運用する
高齢者採用を進める際は、関連法令や社内規程を確認したうえで運用することが重要です。
高年齢者雇用安定法では、企業に対して65歳までの雇用確保措置を義務付けています。また、70歳までの就業機会確保についても取り組みが求められています。
さらに、労働施策総合推進法やパートタイム・有期雇用労働法など、高齢者雇用に関連する法令も確認しておくことが重要です。
法令や社内規程を正しく理解したうえで運用することで、高齢者が安心して働ける環境づくりにつながります。
※6:厚生労働省|高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
高齢者採用に関するよくある質問

最後に、高齢者採用について企業の採用担当者からよく寄せられる質問を紹介します。
高齢者採用と継続雇用制度の違いとは?
高齢者採用と継続雇用制度は混同されやすい制度ですが、対象となる人材が異なります。
高齢者採用とは、定年後の人材を含め、社外から高齢者を新たに採用することです。
一方、継続雇用制度は、自社で定年を迎えた従業員を引き続き雇用することです。
例
- 60歳で定年を迎えた従業員を再雇用する場合→継続雇用制度
- 他社で定年退職した人材を採用する場合→高齢者採用
継続雇用制度と高齢者採用を組み合わせることで、経験豊富な人材の確保を進める企業も増えてきています。
高齢者限定の求人を出しても問題ない?
高齢者を対象とした求人を出せる場合はありますが、例外規定に該当する必要があります。
例えば、高年齢者の就業機会確保を目的として60歳以上の求職者に限定した求人を出すことは可能です。
募集・採用時の年齢制限は原則として認められていませんが、高齢者の雇用促進を目的とする場合には例外が設けられているためです。
ただし、求人票への記載方法や募集理由にはルールがあります。高齢者限定の求人を検討する場合は、事前にハローワークなどへ確認しておきましょう。
高齢者採用は【採ること】より【活躍できる環境づくり】が重要

高齢者採用は、人手不足への対応だけでなく、経験豊富な人材の確保や技能継承、人材育成にもつながる重要な採用手法です。
実際に多くの企業が高齢者採用を進めており、建設業や運輸業、医療・福祉業やサービス業など幅広い業界で活躍の場が広がっています。
ただし、どれだけ受け入れ体制を整えても、応募が集まらなければ採用活動は始まりません。高齢者採用を進めるうえでは、まず応募者と出会える環境を整えることも大切になります。
この機会に「シニア求人情報を無料で掲載できるサービス」を利用して母集団を広げ、面接で再現性や適応力を見極める流れを作り、低コストでできる採用活動を始めてみてはいかがでしょうか?










