リファラル採用の導入を検討していても、「何から始めればいいのかわからない」「紹介報酬はいくらに設定すればいい?」「社員にどのように周知すれば紹介してもらえる?」と悩む採用担当者もいるのではないでしょうか?

リファラル採用とは、自社の社員から友人や知人を紹介してもらい、通常の採用選考を経て採用する方法のことです。求人媒体だけでは出会いにくい人材と接点を持てるほか、社員を通じて仕事内容や職場環境を事前に伝えられる点もメリットです。

この記事では、リファラル採用の仕組みやメリット・デメリットをはじめ、具体的なやり方を6つのステップに分けて紹介します。さらに、成功させるポイントや社内周知の方法、紹介報酬の決め方、運用上の注意点についても解説します。

リファラル採用のやり方を理解し、自社で導入する際の参考にしてください。
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目次

リファラル採用とは?

会社員と人型アイコン

まずは、リファラル採用の基本的な仕組みと縁故採用との違いを確認しておきましょう。

リファラル採用とは社員から友人・知人を紹介してもらう採用方法

リファラル採用とは、自社で働く社員から友人や知人を紹介してもらい、採用候補者との接点をつくる方法のことです。

「リファラル(referral)」には「紹介」や「推薦」という意味があり、社員の人脈を活用して候補者との接点をつくることから「社員紹介採用」と呼ばれる場合もあります。

リファラル採用の一般的な流れ
  1. 社員が友人・知人へ求人を案内する
  2. 候補者が応募する
  3. 通常の採用選考を行う
  4. 採用・不採用通知

候補者は知人である社員から仕事内容や職場環境などを聞いたうえで、応募するかを判断できます。企業側も紹介した社員から候補者の経験や人柄などを聞けるため、双方が事前に情報を得やすいことがポイントです。

ただし、必ず採用が決まるわけではありません。紹介をきっかけとして候補者と接点を持ち、その後は面接など通常の採用選考を行うため、通常の選考と同様に不採用となる可能性もあります。

縁故採用との違いは通常の採用選考を行うこと

リファラル採用と似た採用方法に、「縁故採用」があります。

縁故採用とは、経営者や社員、取引先などの親族・友人・知人を、そのつながりをきっかけとして採用する方法です。例えば、経営者の親族を自社に迎えたり、取引先から紹介された人を採用したりするケースが該当します。

縁故採用では、紹介者との関係性や信頼を重視して採用を決める場合があり、一般の応募者と同じ選考を行わないケースもあります

一方、リファラル採用では、社員からの紹介はあくまで候補者と接点を持つきっかけです。紹介された候補者についても、書類選考や面接などを実施し、経験やスキル、自社との適性を確認したうえで採否を判断します。

縁故採用は人とのつながりが採用判断にも反映する場合があるのに対し、リファラル採用は採用そのものは通常の基準で判断する点が大きな違いです。

リファラル採用は社員から紹介された人を優先して採用する制度ではなく、「社員の人脈を活用して採用候補者との新たな接点をつくる方法」と覚えておくとよいでしょう。

リファラル採用のメリット

メリットとデメリットの看板

リファラル採用には、社員の人脈を活用して採用候補者との接点を広げられる以外にも多くのメリットがあります。

ここでは、リファラル採用の主なメリットを紹介します。

求人媒体だけでは出会いにくい人材にアプローチできる

1つ目のメリットは、求人媒体だけでは出会いにくい人材にアプローチできることです。

求人サイトでは、基本的に求人情報を見た求職者が自ら応募します。しかし、リファラル採用では、社員から友人や知人へ直接自社の求人を案内できます。

そのため、現在は積極的に転職活動をしていないものの、「条件の合う企業があれば転職を検討する」という人材に自社を知ってもらうきっかけがつくれます

また、社員の過去の勤務先や取引先、学校などの人脈を活用できる点も特徴です。

例えば、募集職種と同じ業務を経験した元同僚や、同じ分野を学んだ友人・知人など、求人媒体では接点を持てなかった人材が採用候補となる可能性があります。

既存の採用チャネルとは異なる経路から候補者を探せるため、応募者が集まりにくい職種や経験者を募集する場合に向いています。

事前に仕事内容や職場環境を伝えられる

2つ目のメリットは、事前に仕事内容や職場環境を伝えられることです。

候補者は事前に求人票や採用サイトだけでは伝えきれない実際の働き方や職場の雰囲気、仕事の進め方などを聞けるため、企業への理解を深めたうえで応募するかを判断できます。

「どのようなメンバーと働くのか」「職場ではどのようにコミュニケーションを取っているのか」など、候補者が気になる情報を知人である社員から聞けることもメリットです。

企業側にとっても、候補者が仕事内容や職場環境をある程度理解した状態で選考へ進むことで、入社後の働き方について認識を合わせやすくなります。

採用コストを抑えられる

3つ目のメリットは、採用にかかる費用を抑えられることです。

求人サイトを利用する場合は掲載料、人材紹介を利用する場合は採用時の紹介手数料などが発生することがあります。しかし、リファラル採用では社員の人脈を通じて候補者と接点をつくるため、外部サービスにかかる費用を抑えられるケースが多いです。

特に、複数人を継続して採用する企業では、リファラル採用を取り入れることで、1人あたりの採用コストを抑える効果が期待できます。

ただし、リファラル採用に費用がまったくかからないわけではありません。制度によっては社員への紹介報酬や候補者との会食費、社員への周知に費用がかかるケースもあります。

リファラル採用のデメリット

「DEMERIT」の文字ブロックと画用紙

リファラル採用には、採用候補者との新たな接点をつくりやすいというメリットがある一方で、社員の人脈に左右されやすいなどのデメリットもあります。

また、紹介者と候補者が友人や知人であるため、不採用や早期退職などが人間関係に影響する可能性にも配慮が必要です。

ここでは主なデメリットを確認しておきましょう。

社員の人脈に左右されるため候補者が集まりにくい場合がある

1つ目のデメリットは、社員の人脈によって紹介できる候補者の数や範囲が限られることです。

リファラル採用は社員の友人や知人などを対象とするため、求人サイトのように幅広い求職者へ求人情報を届けられる訳ではありません。募集する職種や必要な経験によっては、条件に該当する知人が周囲にいない社員も多いです。

また、紹介できる人材がいたとしても、その人が転職を検討しているとは限りません。そのため、短期間で多くの応募者を集める必要がある場合や採用予定人数が多い場合は、リファラル採用だけでは十分な候補者を確保できない可能性があります。

以下の記事では、人材確保の方法や人手不足対策について詳しく解説しています。

必要な候補者数を確保できない場合は、リファラル採用は採用チャネルの1つとして活用し、求人サイトや人材紹介などほかの募集方法との併用を検討しましょう。

応募者を増やし採用・定着につなげるポイントを紹介|すぐに実践できる!人材確保の方法15選

人手不足が起こる原因と今すぐ取り組むべき解決策を徹底解説|【企業向け】人手不足対策の完全ガイド!

紹介者と候補者の人間関係に配慮する必要がある

2つ目のデメリットは、選考結果や入社後の状況によって、紹介者と候補者の人間関係に影響を与える可能性があることです。

リファラル採用では、友人や元同僚など個人的なつながりを持つ人材を紹介するケースがあります。候補者が不採用になった場合、紹介した社員が責任を感じたり、候補者との関係が気まずくなったりすることも考えられます

また、採用後に候補者が早期退職した場合には、紹介者が「自分が紹介したから」と必要以上に責任を感じる可能性もあるでしょう。内定辞退についても同様に、紹介者へ責任を負わせないことが大切です。

企業側は、紹介者に対して以下の情報をあらかじめ伝えておくことが大切です。

事前に伝えておくべき内容
  • 紹介された候補者も通常の基準で選考すること
  • 選考結果や入社後の判断について紹介者が責任を負う必要はないこと

候補者の選考状況や不採用理由などを紹介者へどこまで共有するかについても、事前にルールを決めておきましょう。

似た経歴や価値観を持つ人材に偏る可能性がある

3つ目のデメリットは、紹介される候補者の経歴や価値観などが偏る可能性があることです。

社員は、過去の職場や学校、仕事上のつながりなどから候補者を探すため、自然と自分と似た業界・職種の経験を持つ人や、考え方が近い人を紹介することが多くなります。

自社の社風や価値観に合う人材を採用することは重要ですが、「自社に合う人材=既存社員と似ている人材」と考えてしまうと、採用する人材の経歴や考え方が偏る可能性があります。

リファラル採用でも紹介者との関係性ではなく、募集職種に必要な経験やスキル、採用基準に沿って候補者を評価することが大切です。

リファラル採用のやり方【6ステップ】

ステップ1からステップ4の矢印

リファラル採用を導入する際は、社員へ紹介を呼びかける前に、目的や採用する人材の条件、紹介方法などを決めておくことが重要です。

リファラル採用の進め方
  1. 導入する目的と採用目標を決める
  2. 紹介してほしい人材の条件を明確にする
  3. 紹介方法や対象者などのルールを決める
  4. 紹介報酬や支給条件を決める
  5. 候補者を紹介できる仕組みを整える
  6. 社員へ制度を周知して運用を開始する

それぞれのステップで取り組む内容を確認しましょう。

ステップ1|導入する目的と採用目標を決める

最初に、自社の採用課題を確認し、リファラル採用を導入する目的を明確にします。

導入目的は、課題によって以下のように異なります。

・求人サイトからの応募が少ない場合→応募者との接点を増やす
・人材紹介の利用により採用費が高くなっている場合→採用コストを抑える
・特定の経験やスキルを持つ人材の採用が難しい場合→社員の人脈を活用して候補者を探す

目的が決まったら、次に具体的な採用目標を設定しましょう。

「半年間で5人採用する」のような採用人数に加えて、「社員から10人紹介してもらう」「紹介された候補者のうち5人から応募を得る」など、採用までの各段階についても数値目標を設定しておくと、制度が機能しているかを確認しやすくなります。

また、採用コストの削減を目的とする場合は、リファラル採用による1人あたりの採用単価も確認できるようにしておくことも重要です。

求人サイトや人材紹介など現在利用している採用チャネルの応募数・採用数・採用単価も確認しておきましょう。

人材紹介による採用単価とリファラル採用による採用単価を比較すれば、導入によってどの程度コストを抑えられたのかを判断できます。

なお、以下の記事では、採用課題や採用戦略の立て方について詳しく解説しています。

採用課題一覧をロジックツリーで把握!採用課題とは?原因と解決方法を解説

採用方針・採用要件・採用チャネルの決め方と実行のポイント|中小企業の採用戦略の立て方と実行計画

中小企業ができるコスト削減方法も解説!企業の採用コストの平均額はどれくらい?

ステップ2|紹介してほしい人材の条件を明確にする

次に、紹介してほしい人材の条件を明確にします。

主に確認しておきたい項目は以下のとおりです。

決めておくべき項目
  • 募集職種
  • 具体的な仕事内容
  • 必須となる経験・スキル
  • 歓迎する経験・スキル
  • 求める人物像

例えば営業職を採用したい場合、単に「営業経験のある人」ではなく、「法人営業の経験があり、既存顧客への提案営業を任せられる人」のように具体化すると、社員が知人のなかから条件に合う人材を思い浮かべやすくなります

反対に、「優秀な人を紹介してください」のように条件が曖昧では、社員によって「優秀な人」の基準が異なるため、誰を紹介すればよいのか判断しにくくなるでしょう。

ただし、条件を細かく設定しすぎると、紹介できる候補者が限られる可能性があるため、採用に欠かせない必須条件とあると望ましい歓迎条件を分けて設定することがポイントです。

ステップ3|紹介方法や対象者などのルールを決める

紹介してほしい人材の条件が決まったら、リファラル採用を運用するためのルールを決めます。

以下のような項目についてルールを決めておきましょう。

決めておくべきルール
  • 紹介できる社員の範囲
  • 家族や親族を紹介対象とするか
  • すでに自社へ応募している人が紹介された場合の扱い
  • 複数の社員から同じ候補者が紹介された場合の扱い
  • 紹介者が選考に関与できる範囲
  • 紹介後の連絡方法や選考の流れ

例えば、同じ候補者を2人の社員が紹介した場合、どちらを紹介者として扱うのかを決めていなければ、紹介報酬の支給をめぐってトラブルになる可能性があります。

制度を開始してから個別に判断するのではなく、起こり得るケースを想定してルールを決め、社員が確認できる形で共有しておくことが大切です。

ステップ4|紹介報酬や支給条件を決める

紹介報酬を設ける場合は、金額だけではなく、以下のような支給条件も決めておくことが重要です。

支給条件の例
  • 候補者が入社した時点で支給する
  • 入社後3ヶ月勤務した場合に支給する

ほかにも、「すべての募集職種を報酬の対象とするのか」「採用が難しい職種だけを対象とするのか」などを、事前に決めておきましょう。

また、就業規則や賃金規程との整合性も確認する必要があります。

紹介報酬の具体的な決め方や注意点については、後ほど詳しく解説します。

ステップ5|候補者を紹介できる仕組みを整える

制度の基本的なルールが決まったら、社員が候補者を紹介するための仕組みを整えます。

主な紹介方法
  • 専用の紹介フォーム
  • ATS(採用管理システム)
  • 社内ポータルなど

紹介するたびに人事担当者へ個別に連絡するよりも、社員が迷わず紹介できる仕組みを整えると運用しやすくなります。

紹介する際は、候補者の個人情報の取り扱い方法にも注意が必要です。社員が候補者の履歴書や連絡先を本人の同意なく人事担当者へ送るのではなく、候補者本人が専用フォームなどから必要な情報を入力できる仕組みを整えましょう

例えば、社員には候補者へ専用URLを案内してもらい、興味を持った候補者自身が登録する流れにすれば、社員が個人情報を預かる必要はなくなります。

紹介する社員と候補者の双方にとって手続きがわかりやすく、個人情報にも配慮した仕組みを用意することがポイントです。

ステップ6|社員へ制度を周知して運用を開始する

制度が整ったら、リファラル採用を行っていることを社員へ周知し、運用を開始しましょう。

周知方法には、社内説明会やメール、社内チャット、社内ポータルの活用などがおすすめです。

周知する際には、以下の内容も共有しましょう。

社内周知する内容
  • リファラル採用を導入する目的
  • 現在の募集職種
  • 求める人物像
  • 候補者の紹介方法
  • 紹介報酬と支給条件
  • 紹介時の注意事項
  • 紹介後の選考の流れ

社員が制度の内容を理解していても、募集職種や求める人物像がわからなければ、知人へ声をかけるのは難しくなります。そのため、「どのような人材を募集しているのか」「候補者へ何を伝えればよいのか」まで具体的に共有することが重要です。

社内周知の具体的な方法については、後ほど詳しく解説します。

リファラル採用を成功させるポイント

会社員が握手する様子

リファラル採用では、社員が自社を友人や知人に勧められる職場環境を整えるとともに、紹介しやすい仕組みを用意し、募集状況を継続して発信することが重要です。

ここでは、リファラル採用を成功させるためのポイントを解説します。

社員が【紹介したい】と思える職場づくりに取り組む

リファラル採用を成功させるためには、社員自身が「友人や知人にも勧められる会社」と感じられる職場づくりが重要です。

社員が仕事内容や職場環境に不満を抱えている状態では、紹介報酬などの制度を設けても、大切な友人や知人を自社へ積極的に勧めることはないでしょう。

リファラル採用を成功させるためには、働きやすい職場環境を整えるほか、仕事に見合った評価制度を設けたり、社員同士がコミュニケーションを取りやすい環境をつくったりするなど、日頃から社員が自社に魅力を感じられる状態をつくることが大切です。

「友人や知人にも勧められる会社」と思ってもらうためには、社員アンケートや面談などを通じて、社員が自社のどこに魅力を感じ、どこに課題を感じているのかを確認することも大切です。

その際、社員から評価されている点は採用時のアピール材料として活用し、課題が見つかった場合は職場環境や制度の改善につなげましょう。

「報酬がもらえるから紹介する」だけではなく、「この会社なら友人にも勧められる」と社員が思えることが、継続的な紹介につながる土台となります。

社員が紹介する動機となる施策を設ける

社員が候補者を紹介するきっかけとなる施策を設けることも有効です。

代表的な方法として紹介報酬がありますが、金銭的な報酬だけが選択肢ではありません。候補者と気軽に話せるように会食費を補助したり、採用に貢献した社員を社内で表彰したりする方法も考えられます。

また、候補者を紹介してくれた社員に対して、人事担当者や上司から感謝を伝えることも大切です。採用に至らなかった場合も紹介そのものへの協力に感謝することで、社員が次の候補者にも声をかけやすくなるでしょう。

自社の社員がどのようなきっかけがあれば採用活動に協力しやすいかを確認し、紹介への心理的なハードルを下げる施策を取り入れることが重要です。

紹介しやすい仕組みを整える

社員がスムーズに候補者を紹介できるような、専用フォームや資料を用意することも大切です。

専用フォームや資料で以下の内容が伝わるようにしておけば、社員が候補者に一から説明する負担を減らせます。

専用フォームや資料に掲載する内容
  • 募集職種
  • 仕事内容
  • 給与などの労働条件
  • 会社の特徴など

社員が候補者を思い浮かべたときに、すぐに求人情報を案内できる仕組みをつくることで、実際の紹介につながりやすくなります。

紹介実績や募集職種を定期的に社員へ共有する

リファラル採用の社内周知は、制度の導入時だけではなく、運用開始後も続けることが重要です。

例えば、月次や四半期ごとに、現在の重点募集職種や新しく募集を始めたポジションなどを社内メールやチャットで発信するとよいでしょう。

社員が定期的に求人情報を見ることで、「以前の職場に条件の合いそうな人がいる」など、候補者を思い出すきっかけになります。

また、社員からの紹介数や採用実績、リファラル採用による成功事例などを共有することも有効です。「社員からの紹介をきっかけに〇人が入社した」のように成果を伝えれば、制度が実際に活用されていることを社員に知ってもらえます。

ただし、個別の候補者の選考状況や不採用理由などを社員へ広く共有することは避けましょう。情報共有する際には、紹介数や採用数などの集計情報を中心に発信することがポイントです。

紹介から採用後の定着までの状況を継続して確認する

リファラル採用の運用を開始したら、最終的な採用人数だけで成果を判断せず、採用までの各段階の数値を継続して確認します。

主な確認項目は、以下のとおりです。

確認項目
  • 社員からの紹介数
  • カジュアル面談などの実施数
  • 応募数
  • 内定数
  • 入社数
  • 1人あたりの採用単価
  • 入社後の定着率

例えば、紹介数が多いにもかかわらず応募数が少ない場合は、候補者へ伝えている求人内容や条件に改善の余地がある可能性があります。

一方、応募数に対して採用数が少なければ、紹介される人材と採用要件が合っているかを確認する必要があるでしょう。

さらに、入社後の定着状況まで確認することで、採用人数だけではわからないリファラル採用の成果も把握できます。

どの段階で候補者が減っているのかを確認しながら改善を重ねることが、継続的な運用につながります。

紹介が少ない場合は周知方法や採用要件を見直す

社員からの紹介が思うように増えない場合は、原因を確認したうえで改善を行いましょう

まず、制度そのものが十分に知られていない場合は、社内メールやチャットなどで周知する回数を増やすことが重要です。

制度は知られているものの紹介が少ない場合は、「求める人物像が曖昧で誰を紹介すればよいかわからない」「紹介方法が複雑で手間がかかる」「現在の募集職種が社員に伝わっていない」など、別の原因が考えられます。

紹介数が少ないからといって、紹介報酬を増やせば解決するとは限りません。社員アンケートやヒアリングなども活用しながら紹介につながらない理由を把握し、募集職種や採用要件の伝え方、紹介手続き、社内周知の方法などを見直すことが重要です。

リファラル採用だけで人材を確保できない場合は他の募集方法と組み合わせる

採用人数が多い場合や特定の経験・スキルを持つ人材を募集する場合などは、リファラル採用では十分な候補者を集められない可能性があります。

その場合は、リファラル採用だけに限定せず、求人サイトや人材紹介、ダイレクトリクルーティングなど、ほかの募集方法を組み合わせることが重要です。

なかでも求人サイトは、社員と直接のつながりがない求職者にも求人情報を届けられるため、リファラル採用では接点を持てない層まで募集対象を広げられます。

採用対象を広げる場合は、これまでの経験やスキルを活かせるシニア人材も採用候補にすることをおすすめします。

社員からの紹介だけでは十分な候補者を確保できない場合は、シニア人材に特化した求人サイトなどを活用し、外部からも応募を集められる仕組みをつくることを検討してみましょう。

シニア求人情報を無料で掲載できるサービス」であれば、求人掲載にかかる初期費用を抑えながら新たな候補者との接点を増やせるため、リファラル採用を補う募集方法の1つとして活用できます。

以下の記事では、応募を増やす方法に関して詳しく解説しています。

応募が来ない原因と今すぐできる改善方法10選を解説!求人の応募を増やすにはどうすればいい?

リファラル採用を行っていることを社内周知するにはどうすればいい?

「PR」の文字ブロックと会社員

リファラル採用は、社員の協力が不可欠です。

一度の周知だけでは時間の経過とともに制度の存在を忘れられてしまう可能性があるため、メールや社内チャットなど複数の方法を活用しながら、継続的に情報を発信しましょう。

ここでは、リファラル採用を社員へ周知する際のポイントを解説します。

制度を導入する目的を社員に伝える

リファラル採用を社員へ周知する際は、まず制度を導入する目的を伝えます。

単に「人手が足りないので知人を紹介してください」と呼びかけるだけでは、社員にとって採用活動へ協力する意味がわかりにくく、積極的な紹介につながらない可能性があります。

「新規事業の立ち上げに向けて専門的な経験を持つ人材を採用する」「事業拡大に伴い新しいメンバーを増やす」など、自社がどのような理由で採用を行っているのかを社員に理解してもらうことで、友人や知人へ自社を紹介するきっかけをつくりやすくなります。

募集職種と求める人物像を具体的に共有する

社員から候補者を紹介してもらうためには、募集している職種と求める人物像を具体的に共有する必要があります。

例えば、「法人営業の経験が3年以上あり、既存顧客への提案を担当できる人」のように、職種だけではなく、必要な経験やスキル、入社後に任せる仕事までしっかり共有しましょう

「営業職を募集中」「経験者を募集」のような情報だけでは、社員が自分の知人のなかから条件に合う人材を思い浮かべにくいため、人物像を明確にすることが大切です。

また、必須条件と歓迎条件を分けて共有することもポイントです。

すべての条件を満たしていなければ紹介できないと社員が受け取ると、候補者の範囲を必要以上に狭める可能性があります。

社員が募集内容を見たときに「以前の職場に合いそうな人がいる」「学校時代の知人がこの仕事をしている」と具体的な人物を思い浮かべられる程度まで、求める人材を明確にすることがポイントです。

候補者へ説明できる紹介資料を用意する

社員が友人や知人へ声をかけやすくするために、候補者へそのまま共有できる資料を用意しておくと便利です。

紹介資料には、以下の内容を掲載しましょう。

紹介資料に掲載する内容
  • 会社概要
  • 募集職種
  • 具体的な仕事内容
  • 職場環境や働き方
  • 給与・勤務時間などの募集要項
  • 選考の流れ
  • 応募方法
  • 採用ページのURL

社員が自分の言葉だけですべてを説明すると、社員の負担が大きくなるだけではなく、社員によって候補者へ伝える情報に差が生じる可能性もあります。

その点、募集要項や採用ページなど、会社が用意した正確な情報を候補者へ案内できるようにしておけば、社員の負担を減らしながら正しい情報を伝えられます。

また、資料は社員向けと候補者向けに分けると運用しやすくなります。

社員向けには「どのような人を紹介してほしいか」「紹介する際の注意点」などをまとめ、候補者向けには仕事内容や労働条件、会社の特徴などを掲載すると、それぞれが必要な情報を確認しやすくなります。

メールや社内チャットなど複数の方法で繰り返し周知する

リファラル採用の周知は、制度を導入したときの一度だけで終わらせず、定期的に行うことが重要です。

導入時には全社説明会や社内メールで制度の概要を伝え、その後は社内チャットや社内ポータルなどを活用して最新の募集情報を発信しましょう。

例えば、月に一度「現在の重点募集職種」を発信したり、新しいポジションの募集を始めたタイミングで社員へ知らせたりすると、知人を思い出してもらうきっかけをつくれます。

さらに、「今月は〇件の紹介があった」「社員からの紹介をきっかけに〇人が入社した」など、個人を特定しない範囲で採用状況や成功事例を共有する方法も有効です。

社内メールだけでは情報を見落とす可能性もあるため、社内チャットや社内ポータル、社内報、定例ミーティングなど、普段自社で利用している複数の方法を組み合わせると効果的です。

リファラル採用の紹介報酬はどのように決めればいい?

封筒と1万円札

リファラル採用を導入する企業では、候補者を紹介した社員に対して紹介報酬を支給するケースがあります。ただし、紹介報酬は必ず設けるものではなく、金額についても一律の基準がある訳ではありません。

ここでは、リファラル採用の報酬額の決め方について確認しておきましょう。

紹介報酬の金額は企業によって異なる

東京商工リサーチが2026年6月に実施した『企業の「採用」に関するアンケート調査』では、リファラル採用を取り入れている企業の「1人当たりの最大紹介報酬」について以下のように発表しています。

リファラル採用の1人当たりの最大紹介報酬
  • 報酬は支払っていない:40.9%
  • 1万~10万円未満:20.7%
  • 10万~20万円未満:9.8%
  • 20万~30万円未満:4.3%
  • 明確な規定はない:20.4%

※1:東京商工リサーチ|2026年6月 企業の「採用」に関するアンケート調査

調査では、「報酬は支払っていない」と回答した企業が40.9%で最も多く、次に多いのが「1万~10万円未満」で20.7%でした。

なお、この調査で示されているのは、各企業が紹介した社員へ支払う「最大紹介報酬」です。実際の支給額の相場を示すデータではありません。

紹介報酬を決める際は、自社の採用状況や制度の目的、採用コストなどを踏まえて検討する必要があります。

紹介報酬の支給条件を明確にする

紹介報酬を設ける場合は、「誰に・どのタイミングで・どのような条件を満たした場合に支給するのか」を明確にしておきます。

支給のタイミングは、候補者の入社時に支給する方法のほか、「入社後3ヶ月勤務した場合に支給する」のように、一定の勤務期間を条件とする方法もあります。

また、以下のようなケースについても事前にルールを決めておくことが重要です。

事前にきめておくべきルール
  • 紹介報酬の対象となる職種
  • 紹介できる社員の範囲
  • 同じ候補者を複数の社員が紹介した場合
  • すでに求人サイトなどから応募している候補者が紹介された場合
  • 報酬の支給前に紹介した社員が退職した場合

例えば、複数の社員から同じ候補者が紹介された場合も、「最初に紹介フォームへ登録した社員を対象とする」などの基準を定めておけば、報酬をめぐるトラブルを防ぎやすくなるでしょう。

紹介報酬の金額だけを決めるのではなく、実際の運用で起こり得るケースを想定し、支給条件まで明文化して社員へ共有することが大切です。

紹介報酬を設ける場合は就業規則や給与処理を確認する

紹介報酬を設ける際は、職業安定法との関係や就業規則、賃金規程なども確認する必要があります。

報酬の設定方法や紹介の実態によっては、職業紹介や労働者募集に関する法令との関係を確認する必要が生じます。

また、給与計算や税務上の取り扱いなどについても確認が必要です。商品券など金銭以外で支給する場合も、現金ではないという理由だけで税務上の確認が不要になるとは限りません。

具体的な制度を設計する際は、人事・労務・経理などの担当部署で確認し、必要に応じて社会保険労務士や税理士などの専門家へ相談するとよいでしょう。

リファラル採用を運用する際の注意点

「Caution」が書かれたスケッチブックと会社員

リファラル採用では、社員と候補者に個人的なつながりがあるため、通常の採用とは異なる点にも配慮しながら運用する必要があります。

特に、候補者の個人情報の取り扱いや選考の公平性、紹介報酬に関するルールなどは、制度を始める前に確認しておくことが重要です。

ここでは、リファラル採用を運用する際の主な注意点を確認しましょう。

候補者本人の同意を得てから個人情報を取得する

リファラル採用では、候補者の氏名や連絡先、履歴書などの個人情報の取り扱いに注意が必要です。

例えば、社員が友人や知人へ声をかけた際に、本人の了承を得ずに電話番号やメールアドレス、履歴書などを人事担当者へ渡す運用は避けましょう

候補者が応募や面談を希望した場合は、本人が専用フォームへ氏名や連絡先などを入力する仕組みにすれば、社員が候補者の個人情報を預かって人事担当者へ渡す必要がありません。

また、選考終了後の個人情報の保存期間や削除方法などについても、通常の採用活動における取り扱いとあわせて確認しておくことが重要です。

紹介された候補者にも通常と同じ採用基準を適用する

リファラル採用では、社員から紹介された候補者についても、通常の応募者と同じ採用基準で選考することが基本です。

「信頼している社員の知人だから」「上司から紹介された人だから」という理由で採用基準を変えると、選考の公平性を保ちにくくなります。

リファラル採用は、社員から候補者を紹介してもらう採用方法であり、紹介されたこと自体が採用を保証するものではありません

紹介する社員にも「紹介された候補者は通常の基準で選考する」と事前に伝えておけば、不採用になった場合の認識の違いも防ぎやすくなります。

重複紹介や報酬に関するルールを事前に決めておく

リファラル採用を継続していると、同じ候補者が複数の経路から応募するケースも考えられます。

例えば、以下のようなケースです。

・すでに自社へ応募している候補者を社員が紹介した
・同じ候補者を2人以上の社員が紹介した
・求人サイトや人材紹介から選考中の候補者が別の社員から紹介された
・過去に応募したことがある人材が紹介された

このような場合に紹介報酬の対象者をその都度判断すると、社員とのトラブルにつながる可能性があります。

そのため、「候補者本人が紹介専用フォームから登録した時点を紹介成立とする」「複数の社員から紹介された場合は最初に登録した社員を紹介者とする」など、自社で紹介成立の基準を決めておくことが重要です。

あわせて、他の採用チャネルからすでに応募している場合や過去に応募歴がある場合に、紹介報酬の対象とするかも明確にしておく必要があります。

想定されるケースをあらかじめルールとして定め、社員がいつでも確認できる状態にしておくことが大切です。

紹介者へ候補者の選考情報を共有しすぎない

リファラル採用では、紹介した社員が候補者の選考状況を気にするケースが多いです。

しかし、候補者が社員の友人や知人であっても、面接で話した内容や評価、不採用となった詳しい理由などを紹介者へ安易に共有することは避けなければなりません。

紹介者に伝える内容は「現在選考中」「選考が終了した」などに止め、候補者本人に関する詳細な情報は本人だけに直接伝えることを徹底しましょう。

紹介者にどこまで情報を共有するのかを事前に決め、候補者にも紹介者にも説明できる状態にしておくことで、双方の人間関係やプライバシーに配慮した運用につながります。

社員以外から紹介を受ける場合は法的な扱いを確認する

顧客や取引先など、社員以外の人から候補者を紹介してもらう場合は、社員によるリファラル採用と同じ仕組みで運用できるとは限りません。

特に、社員以外の人へ報酬を支払い、人材を紹介してもらう仕組みを設ける場合は、職業安定法などの関連法令に注意が必要です。

例えば、取引先の担当者に「知人を紹介し、採用された場合は報酬を支払う」という制度を設ける場合は、社員向けの紹介制度をそのまま適用せず、法的な扱いを確認したうえで制度設計する必要があります。

紹介する人がどのような役割を担うのか、報酬をどのような条件で支払うのかによっても扱いが異なる可能性があるため、社員以外から報酬を伴う紹介を受ける場合は、事前に関連法令を確認し、判断が難しい場合は労働局や専門家へ相談することが大切です。

リファラル採用のやり方に関するよくある質問

「?」と豆電球の文字ブロック

最後に、リファラル採用のやり方に関するよくある質問を紹介します。

紹介された人は必ず面接する必要がある?

リファラル採用で紹介された人を、必ず面接する必要はありません。

リファラル採用で紹介された人でも、通常の採用と同様に、自社で定めた基準に沿って選考を進めることが基本です。

そのため、必須条件を満たしていない場合は、書類選考の段階で不採用としても問題ありません

ただし、紹介する社員が「紹介すれば必ず面接してもらえる」と認識していると、選考結果をめぐって認識の違いが生じる可能性があります。「紹介=面接や採用の保証ではない」というルールを、あらかじめ社員へ伝えておくことが大切です。

紹介報酬を設定しなくてもリファラル採用はできる?

紹介報酬を設定しなくても、リファラル採用は実施できます。

紹介報酬は、社員が友人や知人へ声をかけるきっかけをつくる施策の1つであるため、リファラル採用に必須という訳ではありません

紹介報酬を設けない場合でも、社員が「自社を友人や知人へ勧めたい」と思える職場環境を整えることが重要です。

紹介報酬はいつ支給すればいい?

紹介報酬を支給するタイミングに決まりはありません。そのため、「候補者が入社した時点」や「入社後3ヶ月が経過した時点」など、自社で支給条件を設定します

入社後の一定期間を条件とする場合は、「支給日前に候補者が退職した場合」「支給日前に紹介した社員が退職した場合」などの取り扱いも決めておきましょう。

支給時期や対象者などを明確にし、社員が事前に確認できる状態にしておくことが、報酬をめぐるトラブルの防止につながります。

紹介された人が不採用になった場合はどう対応すればいい?

紹介された候補者が不採用になった場合も、通常の選考と同様に、選考結果は候補者本人へ伝えることが基本です。

紹介した社員には、必要に応じて「選考が終了した」など最低限の情報を共有します。面接での評価や詳しい不採用理由など、候補者本人に関する情報を紹介者へ必要以上に伝えることは避けましょう。

また、紹介した社員が不採用の責任を感じないように配慮することも大切です。

候補者を紹介してくれたことへの感謝を伝えたうえで、採否は会社が通常の採用基準に沿って判断することを改めて説明します。紹介そのものを評価する姿勢を示すことで、社員が次回以降も制度を利用しやすくなるでしょう。

社員の家族や親族も紹介対象にできる?

社員の家族や親族をリファラル採用の紹介対象に含めるかどうかは、自社の制度や採用方針に応じて決めましょう

同じ部署や上司・部下の関係になることによる、人事評価の公平性や職場内の関係性などに配慮が必要になる場合もあります。

家族や親族を紹介対象にする場合は、「同じ部署への配属を認めるか」「紹介報酬の対象とするか」などを事前に決め、社員へ共有しておくことが重要です。

リファラル採用は制度を整えて継続的に運用することが重要

「Recruit」の文字を見る複数の会社員

リファラル採用は、社員の友人や知人を紹介してもらい、通常の採用基準に沿って選考する採用方法です。

求人媒体だけでは出会いにくい人材と接点を持てるほか、社員を通じて仕事内容や職場環境を事前に伝えられる、採用コストを抑えられる可能性があるなどのメリットがあります。

リファラル採用を導入する際は、目的や採用目標を決めたうえで、紹介してほしい人材の条件や紹介方法、紹介報酬などのルールを明確にしましょう。また、社員が友人や知人へ自社を勧められる職場づくりに取り組み、制度や募集職種を継続的に周知することも大切です。

ただし、リファラル採用で接点を持てる候補者は社員の人脈に限られるため、必要な人数を確保できない場合もあります。その際は求人サイトなどの外部チャネルを併用し、社員とのつながりがない求職者まで募集対象を広げることも検討しましょう。

経験やスキルを持つ人材を幅広く採用対象とする場合は、シニア人材にも目を向けることで、新たな候補者との接点を増やせる可能性があります。

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シニアジョブ編集部
シニア専門人材紹介会社「シニアジョブ」 キャリアコンサルタント/採用コンサルタント
シニア層を中心とした中途採用支援に長年携わり、企業の採用要件整理や面接設計、評価基準の策定やミスマッチ防止までを一貫して支援。これまでに多数のシニア人材の面接・キャリア相談に関わってきた実務経験をもとに、年齢バイアスを排除した公正な評価手法と再現性のある採用プロセスを構築している。